その名の通り、ルールによる攻撃手段の制約を最大限排除したうえで技術を競い合う格闘技、それが総合格闘技(MMA)です。「何でもありの格闘技」とも呼ばれる総合格闘技は、ボクシングやレスリング、柔術といったあらゆる格闘技の技術が求められることから、格闘技の中でも「キングオブスポーツ」といわれています。スリリングかつエキサイティングな試合展開が醍醐味といえるでしょう。今回は、そんな総合格闘技のルールをご紹介します。
「何でもありの格闘技」総合格闘技のルールはあるの?
「何でもありの格闘技」とはいえ、一定の禁じ手は存在します。「目突き」「金的」「頭突き」「指での首絞め」「パイルドライバーのように頭から垂直に投げる技」などが禁じ手とされています(※「顔面への蹴り技」「倒れている選手への蹴り」は条件付きで認められた攻撃です)。
なお、現在多くの総合格闘技団体が、世界的に統一されたルール「ユニファイドルール」を採用しています。
試合時間は5分3ラウンド(タイトルマッチは5ラウンド)。海外の総合格闘技団体においては試合場を金網で囲った「ケイジ(Cage)」をよく見かけますが、日本ではプロレスやボクシングと同様、ロープを張った四角形の「リング」を使用することもあります。勝敗は、レフェリーが試合を止めるTKO(テクニカルノックアウト)や、関節技や絞め技によるタップアウト(ギブアップ)などによって決定されます。
また、規定時間内に決着がつかなかった場合、3人のレフェリーによって採点がつけられ(判定)、2人以上のレフェリーの支持を得た者が勝者となります。
最近では女子総合格闘技も盛り上がりを見せる!
これまで、総合格闘技といえば「男性の競技」といったイメージが強かったのですが、特に最近では女子総合格闘技が盛り上がっています。
1995年に史上初となる女子限定の総合格闘技イベントが開催されたのを皮切りに、2012年にはアメリカで世界最高峰とされる女子総合格闘技団体が設立されました。
日本では、2015年に「RIZIN」が設立され、現在もテレビ放映されています。男性の選手はもちろん、女性の総合格闘家の活躍にも注目です。
また、ジュニア世代(幼稚園~中学生)を対象とした総合格闘技の大会も広がりを見せています。専門に教える道場が少なかった一昔前とは違い、今では「初めて習ったスポーツが総合格闘技」といったジュニア世代も少なくありません。将来的にはオリンピック競技になったり、学校の部活になったりすることも十分に考えられます。
総合格闘技の試合観戦では選手の“バックボーン”を意識して
とはいえ、総合格闘技の歴史は浅く、まだ30年ほどです。そのため「生まれて初めてのスポーツが総合格闘技」という“大人”の選手は少なく、それぞれが何かしらの“バックボーン”を持っています。例えば、柔道、空手、ボクシング、キックボクシング、相撲などです。選手は自分の得意なフィールドを闘おうとしますので、選手の“バックボーン”を意識しながら試合を観戦してみてください。
また、数年でルールが大幅に変わることもあるため、今の総合格闘技は黎明期といっても過言ではありません。「昔はこんなルールで試合をしていたらしいよ」と語る日が近い将来に間違いなく訪れます。「あの団体のルールなら勝敗が変わっていたかも……」。そんなルールの視点で過去の総合格闘技の試合を見直してみるのもおもしろいと思います。
監修者:山田 峻平(Fighting NEXUS代表)